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桂が白状した三津への付き纏い行為に広間は静まり返った。
「三津さんこの人も大概変態やわ。いいそ?こんな人の傍におっていいそ?」
文は三津の肩を持って目を覚ませと前後に揺らした。すると三津の目がどんどん潤んで湧き出た涙が零れ落ちた。
「ほら!恐怖で泣いちょるぞ!桂さん離れり!」 瘦小腿
高杉がどさくさに紛れて三津の肩を抱いてしっしっと桂に向かって手を払った。
「違うんですぅ……嬉しいんです……小五郎さんそこまでして近くにおろうとしてくれたんやって思ったら……。」
「……は?こりゃ嫁ちゃんの男運やなくて嫁ちゃんの男を見る目がないんや。」
そう言う山縣にフサが真顔でにじり寄った。
「姉上を悪く言わないでください。桂様の行動が異常でも姉上はそこに愛を感じたんですからいいんです。」フサは異常なのは桂であって三津ではないと山縣に何度も繰り返して唱えた。幾松はその傍らで桂に向かってしてやったりな顔をした。
『幾松より三津を選んだ事と出石での一件について腹いせだよな……うん,分かるよ分かる……。私を駄目な人間と皆に知らしめたいんだよな……。』
自業自得なので反論は出来ない。立場が悪くなった時のお決まり,胸の前で腕を組んで口を真一文字に結んだ。
「でも……壬生での生活も全部筒抜けやったのはちょっと怖かった……。」
三津はそう言えば知る筈もない事まで知られていたのは怖かったと当時を思い出して身を震わせた。
「幕府の動きを探る為に送り込んだ間者がいつの間にか三津さん専門の間者になってましたからね……。三津さんやっぱり白石さんのつてを頼って商人とか別の人と縁談もらいましょ?」
伊藤が今からでも遅くないと三津を諭し始めた。文も萩に戻っておいでよと口説いている。
「九一……いつからここは私の心を砕く場になったのだ?」
もう無理心が死んだと桂は項垂れた。
「私で良ければ慰めますよ?あの手この手で。」
「いらん!」
周りは敵だらけだ。唯一の味方は三津のはずだが三津は酔ってるから駄目だと諦めの境地に入った。そんな桂の元へ三津が歩み寄って正面に正座した。
「それでも……空っぽな私に中身をくれたのは小五郎さんです。
新ちゃんが死んでもて生きる意味失くした私を救ってくれたんは小五郎さんなんですよ。女たらしですけど。」
「最後の一言は余計だね。」
ちょっといい話に持っていってくれるのではと期待したのにやっぱり桂の心は打ち砕かれた。三津から浴びせられる女たらしの一言は一番効く。
「今のうちに言いたい事は言っときや?」
赤禰は三津に近寄ってまた少量の酒を与えた。
「武人さん呑ませ方上手いなぁ。三津の事知り尽くしてるみたいでなんか腹立つ。」
入江は笑みを浮かべながらも嫉妬の眼差しを赤禰に向けた。何となく殺気を感じた赤禰はなるべく殺気が漂ってくる方は見ないようにした。
「言いたい事は……沢山……。文句も感謝も伝えたい事はいっぱい……。でも言い尽くされへんから,これから長い時間かけて一つずつ伝えていくから,伝え終えるまで一緒にいてくれますか?」
その言葉を聞いて桂は参ったねと笑った。
「どうせなら酔ってない時に言って欲しかった。明日になれば忘れてるんだろ?」
三津は微睡んだ目で笑っている。
「最期まで一緒に居るから……その言葉をまた聞かせてくれ。」
三津はこくりと頷いた。微睡みながら頷いた三津が眠そうに目を擦るから桂は自分の膝枕で眠らせた。
まだ色々聞きたかったのに寝るの早過ぎなと山縣が文句を垂れた。
「私が答えられる範囲なら答えるよ。」